価格設定に失敗する9つの理由と対策
こんな経験はありませんか?
- すごく頑張って働いているつもりだけど、努力しただけの売上が作れていない気がする
- 商品やサービスには自信があるけれど、売るのが怖い
- もっと値上げしたいけれど、お客さまが離れていくのではと不安に感じる
ひとり起業のようなスモールビジネスでは、「努力した分だけ稼げている気がしない」という気分になることがあります。
いろいろ考えた価格設定だとしても、お客様が受け入れてくれるのか常に不安がつきまといます。
また、原料高騰が苦しくても、お客さまが離れてしまうのではと思うと値上げに踏み切れないこともあるでしょう。
価格設定や値上げが成功することもあれば、失敗することだってあります。
うまくいく道を探るためには失敗する理由も知っておくと、安心です。
スモールビジネスが売上アップに失敗するたくさんの理由の中から代表的なものを8点あげて、対策も解説します。
価格設定に失敗する理由と対策
1.お金を受け取ることに罪悪感を抱いている
価値のあるサービスを作ったのに、「売って対価をいただくこと」を「お客さまからお金を奪うこと」だと感じていると、売ることが罪悪感につながってしまいます。
これは、サービスのクオリティに自信があるかどうかよりも、「売る」という行為に心理的ブロックがある状態です。
お客さまはお金を失うことや損することに抵抗を感じますが、その反面、価格以上の価値を認められたら「お得だ」とも感じます。あなたのサービスを利用したらどんな未来が待っているのかと「ワクワクする」なら、価値を感じている状態です。
価値に見合った金額なら、あなたのサービスは「未来へのチケット」となるわけです。「等価交換」が成立しますので、堂々と金額提示ができますね。
それでもブロックがある、というときには、金額を提示するまでにお客さまの欲しい気持ちを高めていく工夫をしてみましょう。人は「欲しい」気持ちが高まると「買う理由」を探し始めるんです。売り込むのではなく、背中を押してあげることで買ってもらえる確率は格段に上がります。
2.お客様の感じる価値と価格が見合っていない
1でも紹介したように、販売は「等価交換」であるべきなんですね。だから、お客様の思う「適正価格」よりも売り手の考える「このくらいいただいて当然だ」という価格が大きければ、購入してもらえません。
よくあるのが、
- 原価がかかったから高単価になっても当然
- 制作に時間がかかるから商品価格も高くなる
という自分目線での価格づけです。
原価や時間、経費などは価格に上乗せするべき条件ではありますが、それで設定した価格=価値がお客さまの感情にフィットしていなければ絶対売れません。
かといって、安売りすると原価割れするので、この場合は「価値を上げる」工夫が必要です。
お客さまの何に貢献できるのか、お客さまが使ったらどうなれるのか、という「お客さま視点」で考えて、価値と価格がつり合っているのか?
そもそもその価値を、お客さまに正確に伝えられているのか?
この2点を振り返ることで、売上アップにつながります。
3.商品やサービスのクオリティが十分でない
販促や集客がうまければ、初回販売の成功率は上がります。なぜなら、実際の商品やサービスのクオリティについては、購入するまで実態がわからないのに、心理的に期待値をどんどん上げて買わせてしまうことができちゃうから。
でも、商品やサービスの質がその期待値を下回ってしまうと、もう次の購入にはつながりません。
例えば、
「通販で買ったけど実際に手にすると安っぽかった」
「パッケージに惹かれて買ったけどすぐ壊れた」
「予約して行ったのにお店の人が態度が悪かった」
など良くない印象を与えられると、もう継続して他の商品を買い続けたいとは思えないものです。
ビジネスでは継続して買い続けてもらうことで集客や開発にかかった経費を回収できます。いつまでも新規のお客さまを集めていると、なかなか利益が上がってこないのです。だから、新規集客で必要以上の期待を持たせることは悪手なわけです。
それよりも
- 十分なリサーチのもとサービスをつくる
- 集客では価値を正確に伝える
- お客さまからのフィードバックから改善点を見つけて徐々にクオリティをあげていく
- お客さまの不満点やニーズを把握し、解決するためのサポートを行う
といった具合に、正直にお客さまと向き合いながらリニューアルを重ねていくことで、商品やサービスの品質が向上していきます。結果的に顧客満足度が向上し、リピート率や口コミでの拡散に繋がることが期待できます。
4.購入しにくい、わかりにくい
せっかくいい商品だとして、商品やサービスの購入方法がパッとわからなければ、人はわざわざ調べてまで買ってくれません。「高い商品なのに買いにくい」ことは価格の判断以前にマイナス要因になってしまいます。
例えば、オンラインストアの場合には、
- 検索でちゃんと見つかる
- 使いやすいサイト構成
- 商品ジャンル・悩みなど探しやすいカテゴリ構成
- 入力ストレスの少ない決済フォーム
- サポート窓口がすぐわかる
など、アクセスしてから買うまでの操作性も重要です。
5.購入しつづけたい気持ちを後押しできていない
高い商品ならなおのこと、期待感が高まる購入体験が重要です。
・購入を悩む人の背中を押すコンテンツを充実させる
例)他のユーザーの声を掲載する
・届いてから使用するまでのシーンをアシストするようなサポート資料を同封する
例)化粧品に、洗面所で使っても安心な撥水素材でできた使い方を同封する
・もう一度買いたくなる仕掛けをたくさん織り交ぜる
例)2回目で使える期間限定クーポン
など、お客様が感動し買い続けたくなる設計に、価値を納得してもらえるヒントが眠っています。
6.顧客のニーズや悩みが十分に把握できていない
自分が売りたいものを売る、作れる物を売る、いわゆる「プロダクトアウト」では、売上が上がらないことがあります。お客さまが何を望んでいるのか?「ニーズ」や「悩み」を把握することは売上アップを目指すために欠かせません。お客様の望みに合致したサービスにこそ、価値を感じていただけるからです。
お客さまにとって、自社の商品・サービスを使えば悩みが解決できる、という明確なメリットこそが購入の動機になります。
例えばお客さまの声を直接聞いたり、アンケート調査を実施するなど「顧客からのフィードバック」を取り入れ、お客さまに寄り添う「マーケットイン」の発想で商品を作る。さらに、購入していただいた後のサポートやアフターケアを充実させることでより商品の魅力があがります。
7.競合との差別化が不十分
競合とまったく同じサービスであれば、安いほうが売れてしまいます。競合と差別化を図るためには、独自の商品やサービスを提供することが必要です。そのためには、自社の競合はどこの誰なのかをしっかり考える必要があります。
ただし、類似商品を扱う事業だけが競合ではありません。
「同じジャンルの商品」という「類似商品目線」ではなく、お客様の抱える悩みを解決できる存在が「本当の競合」となり得ます。本当の競合と差別化できるポイントを考えることが売上アップにつながります。
8.新しさを取り入れていない
価格にはコストが上乗せされます。そのため、コストを削減すると利益があがるとも言えるわけです。
しかしコスト削減を意識しすぎることで、新しい技術や情報を取り入れるタイミングを逃してしまうことがあるんです。
例えば、壊れていないからといって極端に古いPCをずっと使い続けると、最近リリースされた便利なアプリケーションやシステムを導入することができなかったり、外部向けの自社ウェブサイトを社内で表示することができないなどのデメリットが生まれます。
過去、私がOL時代に勤めていた会社でも壊れない古いPCを使い続けることで処理速度が遅くなり人件費がかさんだり、メンテナンスに多額の経費がかかり結果的にコストが上がってしまったことがありました。
常に新しいものを追う必要はありませんが、業界のこと・競合の様子などに目を配り状況を把握しておく必要はありそうです。
そして、新しいものを導入したら、大幅に作業効率が上がるか? 工数が削減できるか?サービスのクオリティがあがるか?スタッフのモチベーションがあがるか?といった視点を考慮し、取り入れるべきものを判断することが好ましいと考えます。
9.マーケティング戦略が不十分である
広告やプロモーションなどの宣伝活動が不十分であると、集客や顧客獲得につながりません。
しかし、スモールビジネスでは十分なリソースを割くことが難しいですよね。
タダでできる(実際には人件費がかかっていても)SNS投稿を頑張ればいいと、広告や宣伝を十分に行わないケースも散見されます。
結果として商品やサービスを知ってもらう機会を得られず、売上がなかなか上がらないということになるのです。
ここまでご紹介したように、正当な価値を伝えることができていれば購入してもらえるので、その価格に最初から広告や宣伝の費用を上乗せして考えておくことが重要。
商品やサービスをリリースするときには、導線設計や中期的な販売計画も併せて企画していきたいですね。
まとめ
スモールビジネスで売上アップにつまづくポイントを9個ご紹介しました。
売れ続けるにはマーケティング戦略の見直し、競争力の向上、商品やサービスの質の向上、お客さまとのコミュニケーションなど、見直しできるポイントがたくさんあります。定期的にこれらの対策をしていきましょう。
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