【相談会レポート】続けるために、立ち止まって考えたーフリーランスカメラマンTさまのケース

9年目で感じる漠然とした不安から相談会へ
Tさんは、フリーランスのカメラマン。これまでの経験も実績も十分にある──けれど。
どんどん増える若い同業者や、カメラマン特有の機材の多さによる体力や気力面でのしんどさから不安が生まれているとのこと。
自分の強みがわからなくなってきました。
お客さまは何を見て選んでくれているのか?これまでのやり方でいいのか?事業スタートから9年間続けてこられたからこそ、今が「見直しのタイミング」だと感じていたそうです。
相談会で整理したこと
Tさんのようなクリエイティブな職種では、作品そのものに個性が表れますし、作品のテイストでファンやリピーターがつくことが多いので、「自然とブランディングできている」ケースがよくあります。
でも実は「自然なブランディング」はブランドオーナーがコントロールしにくい状態。お客さまからの感覚だけで「この人はこんな作品を撮ってくれるはず」「この人はこんなサービスをやっているのではないか」という思い込みで印象が出来上がってしまうリスクがあるんです。うまくいっている時ほど「何が問題なのか」が自分では分かりにくくなっていきます。
ブランディングは、ブランドオーナーがお客さまからどのように思われたいかコントロールできるもの。さらには、どんなお客さまに来て欲しいかもコントロールができるものです。だからこそ自然なブランディングに納得いかないなら、根本から見直すタイミングだと言えます。
Tさんもその必要性に気づいてご相談にこられたようでした。
そこで今回は、「感覚」を「構造」に変えていくための整理を行いました。


自然にブランディングされている内容を客観的に言語化する
お客さまが感じていること、どんどん増える競合のやっていることを徹底的に調べ、今のご自分のサービスと比較することで、本来主張すべき強みが言語化できていきます。
写真のように視覚で印象を操作されてしまうクリエイティブ職ではこの過程を飛ばしがち。アートではなくビジネスとして展開するときには、定期的に「お客様」「競合」リサーチをするのがおすすめです。
ニーズの再確認
ブランディングはサービスの価値を高めることでもあります。
お客さまは納品される写真が欲しいのではなく、「家族の大事な瞬間を記録する体験」を求めていると捉えると、サービス内容を検討しなおしたり、価格を上げていくこともできます。
また、フリーランスで大切なのは「継続顧客」を育てること。Tさんはリピート顧客が多いということでしたので、お客さまの生涯において写真を残すタイミングを増やせるサービス設計をすることで、一人のお客さまからのリピート頻度を高める方向をおすすめしました。
お客さまのライフサイクルからサービスを検討する
お客さまと競合がリサーチできると、お客さまがまだ気づいていない「写真を残すべきタイミング」を探すこともできるようになります。この時に大事なのが、「自分ならこんなタイミングで写真を撮ってあげられる」という自分基準の感覚だけでなく、お客さまのライフサイクルからも探すということ。競合がやっていないタイミングなら、サービス展開する穴場だと言えます。
技術をブランド化する
撮影とはただシャッターボタンを押すことではありません。1枚の写真を撮るまでのコーディネイトやセッティング、被写体の感情操作までありとあらゆるスキルが求められます。その上で、経験豊富で「望まれる写真」を撮れるスキルに名前を与え、Tさんにしか撮れない1枚だと「ブランド化」することをおすすめしました。名前をつければ独自性が生まれる、ブランディングの手法の1つです。
こんなご感想をいただきました。
スキルが高く世界観のある写真を撮れる方だからこそ、「キラキラじゃない」「落ち着いた雰囲気」を求めるコアなファンが多いだろうカメラマンさん。どんどん増える同業者と差別化していくために、写真にご自身を投影することやお客さまが撮影で体験することを価値に転換することなど、2時間かけてさまざまな角度から一緒に考えました。
「勝手にブランディングできてると思っていたけど、モヤモヤはずっとありました。
強みに自信がなくなり、モチベーションも下がってしまっていて…。
相談会で「なにがブランディングなのか」という丁寧な説明と問いかけに、“自分に納得して仕事を続けたい”という想いが強くなりました。」
改めて「お客さま」を設定し、基本のサービス設計を見直せれば、さらに価値を上乗せした作品も生み出していける。ブランディングがそのきっかけになることを願っています。
同じような方へ伝えたいこと
- 自分の世界観があるが、お客さまの感じていることがわからない
- 自分の作品に自信はあるけれど、選ばれる理由がわからない
- 価格や価値の伝え方に悩んでいる
- 競合が増えてきたので、このままでいいのか心配
そんな方にこそ、「今の自分でどう続けるか」を考えるブランディングが役立ちます。一緒に深く考える時間を作りませんか?